http://news.nicovideo.jp/watch/nw3468865?news_ref=watch_topiclist_nw3469813&page=3
原田氏:
いまや新しい世代、たとえばいまの10代やその友達をコミュニティに連れてきたとき、最初にするのは「プレイさせる」ことじゃなくて「見せる」ことなんですよ。
原田氏:
3D格ゲーではわりと地味なローキックだったりアッパーのようなもので勝敗が決まることもあります。 それをどう解消しなきゃいけないか、という課題が出てきたんですが、そのときに思ったのが、「これは明らかに、オーディエンスをどう満足させるかという課題なんだ」ということでした。
──「スポーツは経験者のほうが楽しく観られる」という説があるじゃないですか。これは僕もサッカーをやっていたのでよくわかるんです。
ゴール前にボールが上がったとき、どんな状況でボールが上がってきたらゴールに至るのか、経験者の脳内では1秒間が100倍くらいに感じられて、シミュレーションされたりするわけです。「きっとこうなる。……やっぱり入ったじゃん、面白い!」という感覚が経験者にはあって、それが面白さ増幅につながっていると思うんです。格闘ゲームでも、実際に対戦中だと、体力ゲージの最後の1ミリの攻防のあいだ、明らかに脳内で時間が伸びてる感じがするじゃないですか。──観ている人に対してそれを演出として見せてあげることによって、そのアドレナリンが出る感覚を再現しているわけですよね。
原田氏:
この機能を思いついたきっかけは、仰るとおり、まさにスポーツからなんですよ。ひとつは、決定的瞬間のリプレイで、よくスーパースローで見せますよね。もうひとつはアメリカのスーパーボウルの中継です。あれは完全なリアルタイムじゃなく、数秒遅れた映像を電波に乗せているんですよね。なぜかといえば、放送事故が起きたときにカットできるように。リアルタイムで流すと「しまった!」という事態が起きることがあるので、あえて遅らせているんだそうです。
それを聞いたときに「それだ!」って思ったんですよ。それがアイデアの根源でした。ゲームだったら、今後起きることは現実よりは法則が成り立ちやすいぶん予測がつきます。現実は予測できないのであえて遅延させて中継し、慌てて編集しているんですが、ゲームならリアルタイム処理中に未来予測でできる。
この距離とこの技のもつフレームだとこのぐらいでこう当たりそう……という感じで法則が先に読めるはずなんです。ということは、そういう先読みのプログラムを用意しておき、並行して走らせておけばいい。結果を待つのではなく、プレイ中に「それが起きる前に超スローを出す」ことができればこれはプレイヤー自身も観ている人にとっても衝撃が起きるんじゃないかと思ったんですよ。